どこか懐かしい景色が広がる、朱色が印象的な町並みを散策

山道を抜けた先に現れるのは、赤褐色の石州瓦やベンガラ格子の町屋が軒を連ねる姿。江戸時代から明治時代にかけて、銅やベンガラ（赤色の顔料）の生産で栄えた吹屋。今では、国の重要伝統的建造物保存地区に認定され、ベンガラ色の町並みが残る「吹屋ふるさと村」としてノスタルジックな雰囲気漂う観光地となっています。

印象的な赤い町並みのなかには、精巧な意匠が施された豪商たちの屋敷などもあり、中を見学することもできます。こちらは現役の郵便局。レトロな建物の前で旅の思い出に記念写真を撮るのもおすすめです。

ベンガラ染が体験できる観光施設「下町ふらっと」。コースターやハンカチなどに赤・黄・黒をベースに好きな色をつくり、筆や型紙を使って染めていきます。世界でたった一つ、手作りのお土産は旅の思い出になること間違いなしです！体験はコースター￥800、ハンカチ￥1,800など。

雲海に浮かぶ姿は、一度は見たい絶景としても有名な「天空の山城」

標高４３０メートルの臥牛山（がぎゅうざん）小松山山頂に建ち、“天空の名城”とも言われている備中松山城。９月下旬～４月初旬にかけて、気候条件がそろうと、雲海に包まれる幻想的な姿を見ることができます。さらに、秋になると、紅葉の赤が加わることで、より一層神秘的な光景に出会うことができるそう。

また、備中松山城は、江戸時代以前の天守が現存する日本でわずか12城の城の１つでもあります。天然の岩盤を利用した壮大な石垣や、国指定重要文化財の三の平櫓東土塀、二重櫓など、天守のほかにも見どころが多く、秋の紅葉はもちろん、季節ごとに変わる周囲の景観と合わせて楽しめます。

天守へと向かう登城坂の大手門周辺は、高さ１０メートル以上の巨大な岩壁がそびえ、かつて‟難攻不落の名城”と言われた面影をうかがえます。本丸へと着いたら天守内見学へ、建築技術や歴史について学ぶことができます。

この時期にしか見られない、紅葉を愛でに。渓谷の中を歩く

美しく色づいたモミジを求め、毎年多くの人が足を運ぶ、岡山県を代表する紅葉スポットです。岡山県総社市北端から加賀郡吉備中央町に位置し、高梁川支流の槙谷川上流にある渓谷で約600メートルの道路沿いには色鮮やかな木々が広がります。ゆっくりと散策しながら紅葉を堪能してください。

ここ豪渓は、花崗岩が削られてできた渓谷と言われています。長い年月をかけて岩が風化し、水の流れによって浸食されたことで生まれた、奇岩が多いことでも知られ、1923年には国の名勝地としても指定されました。

紅葉の見ごろは例年、１１月上旬から１１月下旬にかけて。赤や黄に染まった紅葉のなか、穏やかに流れ続ける川が作り出す荘厳な空間はこの時期だけのもの。日常の喧騒から離れて、落ち着ける時間を過ごせるはずです。