⻄(24)の
“すぐれもの”
伝統の味と新たな挑戦。100年を超える蔵元が紡ぐ醤油の未来
大分県で100年以上の歴史を誇り、地域に愛され続けてきた「二反田醤油店」。同店では、地元食材を使用した伝統的な「天然醸造」の醤油を守る一方で、時代のニーズに合わせたドレッシングや「醤スイーツ」といった新商品の開発にも注力しています。長年培った独自の技法と経験を活かし、進化を遂げながら伝統の味を未来へ継承していく。そんな老舗蔵元の情熱と挑戦の軌跡に迫ります。
大分の風土が育む伝統製法。職人の技が息づく天然醸造の醤油
地元の食材を活かし、長い時間をかけて育む「三年完熟醤油」
1919年、二反田醤油店は「地元の方に喜んでもらえる醤油を」という想いから独自の醤油づくりを始めました。「三年完熟醤油(500ml)」(¥1,404)は、同店を代表する看板商品。深いコクとまろやかな旨味、独特の香ばしさが特長です。
最大のこだわりは、創業時から守り続ける「天然醸造」です。人工的な温度管理をせず、自然の力だけで3年間じっくりと発酵・熟成。職人が長い歳月をかけて育んだ“醤油もろみ”は、唯一無二の深い味わいを生み出します。
「地元の素材で本物の醤油を作りたい」という情熱から、大分県産の大豆と麦にこだわっている点も魅力の一つです。この地域密着の姿勢と熟練の職人技は高く評価され、「三年完熟醤油」は「FOODEX JAPAN 2014」のご当地味噌・醤油グランプリで最高金賞を受賞。蔵を代表する銘品として広く親しまれています。
100年を超えて愛される、地域に根差した「おふくろの味」
四代目が受け継ぐ60年前の設備。変わらぬ味を守るためのこだわり
創業当時から変わらず、お客さまへ醤油を「手渡し」でお届けすることが二反田醤油店のスタイルです。一軒一軒の配送を通じて地域とのつながりを大切にすることで、家庭の食卓を支える存在として愛されてきました。
地元の飲食店でも長年愛用されており、店主やお客さまから直接喜びの声をもらう機会も多いといいます。その親しみやすさと確かな味わいは大分県内にとどまらず、隣の福岡県でも代々「おふくろの味」として親しまれているほどです。時代とともに多くの醤油蔵が姿を消していく中、同地域に寄り添うことで歩みを続けてきました。
創業から100年を超えた現在も、地域を重んじる姿勢は変わりません。新しく便利な機械へ刷新するのではなく、60年前から稼働している蔵の製造設備を手入れしながら使い続けることも、昔ながらの伝統の味わいを届けるための譲れないこだわりです。
時代の変化に対応すべく、老舗が仕掛けた加工品開発への第一歩
危機感から生まれた「かぼす醤油」。伝統を守りつつ広げる販路
現代ではスーパーで手軽に醤油が手に入るようになり、専門店へ足を運んで調味料を買う習慣は減少傾向にあります。二反田醤油店でも、道の駅や全国の百貨店の贈答品などへ販路を広げたものの、時代の波による製造量の減少という大きな課題に直面していました。左:二反田 圭祐さん右:代表取締役 二反田 新一さん
こうした市場の変化のなかで、二代目の店主が立ち上がります。若い世代にも気軽に手にとってもらえる商品を目指し、地元の名産品を取り入れた「かぼす醤油(200ml)」(¥648)を皮切りに、本格的な加工品開発へと乗り出しました。
現在では、かぼすやゆずをはじめ、にんにく、根昆布、雲丹など、豊富なバリエーションの醤油が大きな強みとなっています。しかし、どれだけ商品が増えても「天然醸造」というこだわりの製法は変わりません。「伝統」と「変革」を掛け合わせながら、時代を超えて支持される店へと成長してきたのです。
地元の誇りを詰め込んだ特製ドレッシングの誕生
試行錯誤の末に生まれた、新たな看板商品
三代目の時代を迎えると、変革のスピードはさらに加速します。かぼすやバジル、大葉、ねぎなど、大分県内各地の名産品をふんだんに使ったドレッシングを次々と開発。醤油とお酢、果汁などの絶妙な比率を何度も試行錯誤し、これまで接点の少なかった新規顧客や若い層の心を掴むきっかけを作りました。
さらに開発の手を緩めることなく、大分名物の唐揚げに合わせる「から揚げ専用ソース」(¥648)をはじめ、柚子胡椒や生姜のソース、黒酢、香味醤油など、自社の技術を駆使した豊富なラインナップを展開。
他社との差別化が難しいとされるドレッシング分野において、「地元産の原材料を使うこと」に徹底してこだわりました。地域密着の姿勢が生んだドレッシングは、今では一番人気を誇る主力商品となり、二反田醤油店を象徴するブランドへと成長を遂げています。
未来を見据えた新たな挑戦と、伝統を絶やさないための使命
これからも地域に愛される蔵元として、伝統技術を未来へ繋ぐ
現在、二反田醤油店はさらなる挑戦として、自慢の三年完熟醤油を使用した「醤(ひしお)スイーツ」を展開しています。醤油を使ったみたらしソースをはじめ、プリンやパウンドケーキなどへメニューを拡大。醤油がほんのり香る上品な甘じょっぱさが、多くのファンの間で話題を呼んでいます。※NEXCO西日本オンラインショップ「西の“すぐれもの”再発見」での取り扱いはございません。
時代に合わせた独創的な新商品開発は、一企業の枠を超え、地域経済の活性化にも大きく貢献しています。しかし、どれほど革新を進めても、手間暇をかけて昔ながらの味を守る姿勢が揺らぐことはありません。伝統を尊ぶ心こそが、地元で愛され続けるために最も重要だと確信しているからです。
全国的に醤油蔵が減少している現代において、本来の醸造技術を絶やさず後世に伝えていくことは同店の大きな使命です。長年培ったノウハウの継承に力を注ぎ、伝統の味を未来へと繋ぎ続けます。
Information
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